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顎の痛み・顎が開かない その原因とは?【治療例】

ある女子学生さんが、1ヶ月前から顎が痛くて口がうまく開かないということで来院されました。

最初に診たときは、口を開けたときに指2本分(約2cmちょっと)しか開かず、しかも下あごが左側にずれている状態でした。
また、噛むときに使う筋肉(ほおのあたり)や、あごを前に動かすときに使う耳の後ろの筋肉も固くなっていて、押すと痛みがありました。

この方は、上のあごに比べて下のあごが少し小さめで、歯がきれいに並びきらず少しデコボコしている(歯並びが悪い)状態です。

さらに、舌の横に下の歯の跡がくっきりとついていて、舌が上あごにつけられず、前に出てしまっているのも見られました。
また、普段から唇に力が入りすぎていて、下唇を内側に巻き込む癖もありました。

こういった状態から考えると、歯並びの影響で噛みやすい左側だけで噛むクセがついてしまい、その結果、噛み合わせのバランスが崩れて、無意識に強く噛みしめるようになってしまったことが、筋肉が固まり痛みが出た大きな原因だと考えられました。

 

✅ 1回目の来院では…

まずは、食いしばらないようにするための筋肉の体操(セルフケア)を一緒に練習しました。
それをお家で2週間しっかり続けてもらう約束をしました。

 

✅ 2回目の来院(2週間後)

2回目に来たときには、口の痛みはなくなっており、指3本分くらいまで口が開くようになっていました。
下唇を巻き込む癖もなくなっていました。

ただ、舌に残っている歯型の跡はまだあり、その影響でごはんの時などにまた噛みしめてしまい、痛みが出ることがあるとのことでした。

かみ方を観察したところ、右の奥歯が最初に強く当たってしまっていて、うまく噛めないために左斜め前にずらして噛む癖がついていることがわかりました。

そこで、強く当たっている歯の形を少し丸く整えてもいいかどうかを本人と相談し、OKをいただいたので、左右のバランスがよくなるようにかみ合わせを調整しました。

最初に来たときには、前歯と奥歯の両方で噛んでいたけれど、下あごが左にズレている状態でした。
調整した後は、左右の奥歯でバランスよく噛めるようになったものの、前歯にすき間ができてしまった(前歯が噛み合わない)状態になりました。

このため、引き続き、筋肉の体操と舌の動きのトレーニングを続けてもらい、
「前歯で無理に噛もうとせず、奥歯でしっかり噛むことを意識して食べてくださいね」と説明しました。

 

✅ 3回目の来院

3回目には、食いしばりの症状はかなり改善し、口も大きく開けられるようになっていました。
筋肉の緊張も取れて、安定してしっかり噛める場所(かみ合わせの位置)がはっきりしてきたと考えられます。

ただし、前歯がうまく噛み合わなくなったことが気になるようで、
「前歯でもちゃんと噛めるようにしたいし、歯並びもきれいにしたい」という希望が本人からありました。
そのため、矯正治療(歯並びの治療)を始めることにしました。

 

🔍 全体のまとめと考えられる原因

今回のあごの痛みは、歯並びの問題がもとにあって、噛み方のバランスがくずれたことによって起こったものでした。
このような場合、まずは「なぜ痛くなっているのか」をしっかり理解して、
本来の正常なかみ合わせや筋肉の状態を確認することがとても大切です。

そのうえで、正しい治療の方向(矯正治療)を提案することができたと考えています。

顎口腔機能診断施設 
ササキ歯科・ササキ矯正歯科
文責:【院長】歯科医師 佐々木 智章(ささき ともあき)