目次
― 奥歯が割れて噛めない状態から、もう一度しっかり食事を楽しめる口元へ ―
仕事が忙しく、なかなか歯科医院に通う時間が取れなかった60代男性の患者様です。
もともと奥歯は虫歯になりやすく、痛みが出るたびに抜歯や被せ物治療を繰り返してこられました。
しかし今回、下の左右奥歯に大きな負担がかかり歯が割れてしまい、
奥歯で噛むことができない状態となっていました。
また、奥歯がない期間が長かったことで、
噛み合う上の歯が伸びてしまい、通常の被せ物では歯を入れるスペースも不足している状態でした。
「美味しいご飯を食べることが今の楽しみ」「これ以上悪くならないよう、しっかり治したい」という思いで来院されました。
欠損部の治療方法としては入れ歯とインプラントの両方をご説明しましたが、
患者様は “自分の歯のようにしっかり噛める治療” を希望され、インプラント治療を選択。
さらに、噛み合わせを整えるために上の歯にはセラミック治療を行い、
インプラント治療+セラミック治療による咬み合わせの回復を行うこととなりました。
はじめに ― 奥歯が割れて噛めなくなり、食事を楽しめなくなっている方へ
奥歯が虫歯や破折で失われると、残っている歯に負担が集中し、さらに歯が悪くなってしまうことがあります。
また、奥歯がない期間が長く続くと、噛み合う歯が伸びてしまい、治療がより複雑になるケースも少なくありません。
今回ご紹介するのは、仕事が忙しく歯科医院に通う時間が取れず、奥歯の虫歯や被せ物治療を繰り返していた患者様の症例です。
下の左右奥歯に強い負担がかかり、歯が割れてしまったことで奥歯で噛むことができなくなり、来院されました。
患者様にとって「美味しいご飯を食べること」が日々の楽しみであり、
「これ以上悪くならないよう、しっかり治したい」という強いご希望がありました。
欠損部の治療方法としては入れ歯とインプラントの両方をご説明しましたが、
患者様は 自分の歯のようにしっかり噛める治療 を希望され、インプラント治療を選択。
初診時の状態

初診時に確認された主な問題点
- ・仕事が忙しく歯科受診が難しく、奥歯の虫歯治療を繰り返していた
- ・奥歯に負担が集中し、下の左右奥歯が歯根破折(歯が割れている状態)
- ・痛みが出るたびに抜歯や被せ物治療を繰り返していた既往
- ・奥歯がない期間が長く、噛み合う上の歯が伸びている状態
- ・奥歯に歯を入れるためのスペースが不足している
- ・奥歯でしっかり噛めず、食事に不便を感じている
初診時は下の左右奥歯の歯が割れており、保存が難しい状態でした。
さらに奥歯がない期間が長かったことで、上の歯が伸びてしまい、通常の被せ物治療では十分なスペースが確保できない状況でした。
患者様は「美味しいご飯を食べることが楽しみ」とお話しされており、
これ以上悪くならないようにしっかり治療したいという強いご希望を持って来院されました。
まずは噛み合わせを整え、治療方法を検討することから
このようなケースで大切なのは、いきなり最終的な治療を行うのではなく、現在のお口の状態や噛み合わせの問題点を整理し、患者様のご希望や生活背景も踏まえたうえで治療方法を選択することだと考えています。
当院では、できる限り歯を削らず、本来のご自身の歯を残したまま噛み合わせを整えていく矯正治療を第一の治療法としてご提案しています。矯正治療は歯を削らずに噛み合わせを改善できるという大きな利点がありますが、治療期間が2〜3年程度と比較的長くなる場合があります。
一方でセラミック治療は、被せ物によって噛み合わせを整える方法であり、比較的短期間で治療を進められるというメリットがあります。ただし歯を削る必要があることや、セラミックは永久的なものではなく、将来的に再治療が必要になる可能性があること、破折や脱離などのリスクもあるため、当院では積極的に第一選択としておすすめする治療ではありません。
本症例では、下の左右奥歯に強い負担がかかり歯が割れており、保存が難しい状態でした。そのため、欠損部の治療方法としては入れ歯またはインプラント治療の選択肢が考えられました。
また、奥歯がない期間が長かったことで噛み合う上の歯が伸びてしまい、通常の被せ物では歯を入れるためのスペースが不足している状態でした。そのため、まずは伸びてしまった歯の位置を整え、適切な噛み合わせを回復する必要がありました。
患者様には矯正治療とセラミック治療それぞれのメリット・デメリットについて説明しましたが、患者様からは 「できるだけ治療期間を短くしたい」 という強いご希望がありました。
そのため今回は、奥歯でしっかり噛める状態を回復するためのインプラント治療と、噛み合わせを整えるためのセラミック治療を組み合わせ、治療期間をできるだけ短縮しながら噛み合わせを回復する治療方針としました。
また、セラミックは永久的なものではなく、将来的に再治療が必要になる可能性があることや、破折・脱離などのリスクがあること、そのリスクを減らすために就寝時のマウスピース(ナイトガード)の装着が必要になることについても説明し、ご理解・ご納得いただいたうえで治療を進めていきました。
奥歯でしっかり噛める状態を取り戻すことを目標に、段階的に治療を進めていきました。
治療の流れ:インプラント治療とセラミック治療で噛み合わせを回復した症例
今回の治療のゴールは、
・奥歯でしっかり噛める状態をつくる
・噛み合わせの乱れを改善し、歯への負担を減らす
・長く安定して使える口腔環境を整える
という3点です。
1)伸びてしまった上の歯を整え、噛み合わせのスペースを確保
奥歯がない状態が長く続いていたため、噛み合う上の歯が伸びてしまい、正しい大きさの歯を入れるためのスペースが不足している状態でした。
このような場合、矯正治療によって歯の位置を元に戻す方法もあります。矯正治療は歯を削らずに治療できるという利点がありますが、治療期間が2〜3年と長くなる可能性があります。
一方で、被せ物によって噛み合わせを整える方法であれば、歯を削る必要はあるものの、治療期間を短縮することができます。
患者様は「できるだけ早く治療を終えたい」というご希望があったため、今回はセラミック治療によって噛み合わせを整え、歯を入れるためのスペースを確保する治療を行いました。
2)インプラント治療により奥歯の機能を回復
下の左右奥歯は歯が割れており、保存が難しい状態でした。そのため、欠損部の治療方法として入れ歯とインプラント治療の両方をご説明しました。
患者様は「自分の歯のようにしっかり噛めるようにしたい」という希望が強く、インプラント治療を選択されました。
インプラントを顎の骨に埋入し、骨と結合するのを待った後に上部構造(人工歯)を装着することで、奥歯でしっかり噛める状態を回復していきました。
3)セラミッククラウンで噛み合わせを最終的に調整
インプラント治療と並行して、噛み合わせを整えるためにセラミッククラウンによる治療を行いました。
まずは仮歯(プロビジョナルクラウン)を装着し、噛み合わせや歯の形態を確認しながら調整を行います。その後、問題がないことを確認したうえで最終的なセラミッククラウンを装着しました。
こうしてインプラント治療とセラミック治療を組み合わせることで、奥歯でしっかり噛める状態を回復することができました。
治療後の注意点 ― インプラントとセラミックを長く使うために
インプラントやセラミック治療は、天然歯のようにしっかり噛めることが大きなメリットですが、長く安定して使用するためには日常的なケアもとても重要になります。
今回の症例では奥歯に強い負担がかかり歯が割れてしまった経緯があったため、治療後には以下の点について注意していただくよう説明しました。
① 就寝時はマウスピースを装着する
就寝中は無意識に強い食いしばりや歯ぎしりが起こることがあります。
そのため、セラミックやインプラントに過度な力がかからないよう、就寝時は必ずナイトガード(マウスピース)を装着していただきます。
② 日中の食いしばりに注意する
仕事中や日常生活でも無意識に歯を強く噛みしめていることがあります。
このような習慣が続くと、歯や被せ物に負担がかかり破折の原因となることがあります。
そのため、上下の歯を軽く離す意識を持つことをお伝えしました。
③ 舌の筋機能トレーニング(MFT)を継続する
舌や口周りの筋肉のバランスが整うことで、歯にかかる余計な力を減らすことができます。
そのため、舌の筋機能トレーニング(MFT)を継続して行うことも大切になります。
④ 定期的なメンテナンスを受ける
インプラントやセラミックを長く安定して使用するためには、定期的な歯科検診とクリーニングが欠かせません。
噛み合わせの確認や清掃状態のチェックを行いながら、長く快適に使える状態を維持していきます。
治療後の症例写真

治療後はインプラントとセラミッククラウンにより、奥歯でしっかり噛める状態を回復することができました。
これまで奥歯で噛めない状態が続いていたため、食事の際の噛み方に慣れるまで多少の時間は必要でしたが、徐々に奥歯を使った咀嚼にも慣れていきました。
患者様からは「奥歯でしっかり噛めるようになった」「食事が楽しめるようになった」というお言葉をいただき、機能的にも満足していただける結果となりました。
今回の症例では、インプラント治療とセラミック治療を組み合わせることで噛み合わせを整え、奥歯でしっかり食事ができる口腔環境を回復することができました。
また、奥歯への負担が強く歯が割れてしまった経緯があるため、治療後はナイトガードの装着や舌の筋機能トレーニングを継続しながら、定期的なメンテナンスで長期的な安定を目指していきます。
今回のケースでの自費診療の費用
| 治療内容 | 数量 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|---|
| インプラント埋入 | 4本 | 1本220,000円 × 4 = 880,000円 | — |
| インプラント増骨 | 1回 | 110,000円 | — |
| インプラント印象 | 1回 | 33,000円 | — |
| インプラント上部構造 | 4本 | 1本275,000円 × 4 = 1,100,000円 | — |
| ファイバーコア | 9歯 | 1歯22,000円 × 9 = 198,000円 | — |
| プロビジョナルクラウン(仮歯) | 10歯 | 110,000円 | — |
| セラミッククラウン | 10歯 | 1歯132,000円 × 10 = 1,320,000円 | — |
| セラミック印象 | 10歯 | 1歯5,500円 × 10 = 55,000円 | — |
※治療内容や本数、口腔内の状態によって費用は変動する場合があります。
※詳しい費用についてはカウンセリング時にご説明いたします。
インプラント治療・セラミッククラウンのメリット・デメリット
インプラント治療
メリット
- 自分の歯のような感覚でしっかり噛むことができる
- 周囲の歯を削る必要がない
- 取り外しの必要がなく、違和感が少ない
- 噛む力をしっかり支えられるため、食事の満足度が高い
デメリット
- 外科手術が必要になる
- 保険適用外のため治療費が高額になる
- 骨の状態によっては増骨など追加処置が必要になる場合がある
- 治療期間が数ヶ月かかる場合がある
セラミッククラウン
メリット
- 天然歯に近い自然な見た目で審美性が高い
- 汚れ(プラーク)が付きにくく清掃性が良い
- 金属を使用しないため金属アレルギーの心配が少ない
- 歯ぐきとのなじみが良く長期的な安定が期待できる
デメリット
- 歯を削る必要がある
- 強い食いしばりや歯ぎしりにより破折する可能性がある
- 保険適用外のため費用が高くなる
- 長期間使用すると再治療が必要になる場合がある
まとめ:奥歯が割れて噛めずお困りの方へ
本来であれば、自分の歯をできるだけ残し、矯正治療によって歯を動かして噛み合わせを整えることが理想的です。歯を削らずに治療できるため、歯の健康にとっても大きなメリットがあります。
しかし実際の臨床では、患者様の生活環境やご希望によって、必ずしもその方法が最適とは限りません。治療期間や通院状況などを考慮し、セラミック治療を選択するケースもあります。そのため当院では、それぞれの治療方法のメリット・デメリットをしっかりご説明し、患者様にご理解・ご納得いただいたうえで治療方針を決めることを大切にしています。
奥歯に問題があっても、痛みが落ち着くとそのまま様子を見てしまう方は少なくありません。しかし奥歯で噛めない状態が続くと、残っている歯に負担が集中し、歯の破折や噛み合わせの崩れなど、さらに大きなトラブルにつながることがあります。
今回の症例では、奥歯が割れてしまい噛むことが難しい状態でしたが、インプラント治療とセラミック治療を組み合わせて噛み合わせを回復することで、再び奥歯でしっかり食事ができる状態を取り戻すことができました。
患者様からも
「奥歯でしっかり噛めるようになり、食事が楽しめるようになった」
と喜んでいただくことができました。
奥歯のトラブルは、放置してしまうと治療が複雑になり、治療期間や費用が増えてしまうこともあります。患者様それぞれの状況に合わせた治療を行い、再び美味しく食事ができる状態を取り戻していただくことが大切だと考えています。
・奥歯が割れてしまった
・奥歯でしっかり噛めない
・インプラントやセラミック治療について相談したい
このようなお悩みがある方は、まずは一度ご相談ください。
お口の状態をしっかり診査したうえで、患者様のご希望や生活スタイルに合わせた治療方法をご提案いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。
歯科医師:佐々木 智章

<経歴>
-
- 2010年 愛知学院大学歯学部卒業
- 2011年 愛知学院大学臨床研修医
- 2012年 アップルデンタルクリニック勤務医
- 2014年 ササキ歯科・ササキ矯正歯科勤務
<資格・所属学会>
-
- 愛知県歯科医師会
- 名古屋市東区歯科医師会
- MDIベーシックコース
- MDIインプラントコース
- ストローマンインプラントコース
- CAD/CAM Curving & Polishing
- CAD/CAM Preparation & Training
- アストラテックインプラントシステムベーシックコース
- 顎咬合学会
- LCDCベーシックコース
