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前歯で噛めない「開咬」を矯正治療で改善|舌の癖から見直した症例

― 前歯で噛めない日常から、“しっかり噛める口元”へ ―

前歯で食べ物を噛み切ることができず、麺類などが食べにくいことに悩まれていた25歳女性の患者様です。

また、前歯の突出により口が閉じにくく、無意識に下唇を使って口を閉じる癖も見られました。

日常生活の中で、「前歯でうまく噛めない」「口元が気になり自然に閉じられない」

といった機能面・見た目の両方にお悩みを抱えて来院されました。

診査の結果、前歯が上下で噛み合わない「開咬」と、舌の使い方の癖(異常嚥下)が関係していることがわかりました。

患者様ご本人も、「しっかり前歯で噛めるようになりたい」「自然に口が閉じられるようにしたい」

というご希望があり、
“前歯でしっかり噛める機能的な歯並び”の獲得を目標に、矯正治療をスタートしました。

はじめに ― 前歯で噛めない・口が閉じにくいと感じている方へ

前歯でうまく噛み切れない、口が閉じにくいといったお悩みを抱えている方は少なくありません。

痛みがないため日常生活は送れてしまうものの、
・麺類や食べ物を前歯で噛み切れない
・口元に力を入れないと閉じられない
といった不便さを感じながら過ごしているケースも多く見られます。

今回ご紹介するのは、前歯で噛むことができず、食事のしづらさに悩まれていた患者様の症例です。

また、口が閉じにくいことや口元の見た目も気になっており、「しっかり前歯で噛めるようになりたい」「自然に口が閉じられるようにしたい」というご希望で来院されました。

診査の結果、前歯が噛み合わない「開咬」と、舌の使い方の癖が関係していることが判明。

前歯でしっかり噛める機能の回復と、自然な口元の改善を目標に、矯正治療を行いました。

■ 飲み込み方(舌の使い方)について

開咬の方では、日常的な「飲み込み方」に特徴があることが多く、歯並びにも大きく影響します。

正常な飲み込み

舌で上顎を押しながら、奥歯は噛んだ状態で飲み込みます。
このとき、口の周りの筋肉には余計な力は入っていません。

 ● 誤った飲み込み(異常嚥下)

舌で前歯を押しながら飲み込む癖が見られます。
開咬の方は、前歯の隙間に舌を押し込みながら飲み込んでいることが多いのが特徴です。

この舌の押し込みが、
・出っ歯の悪化
・上下前歯の隙間の拡大
といった歯並びの悪化につながります。

初診時の状態


・前歯で食べ物を噛み切ることができない(開咬)
・麺類などが前歯で食べにくい状態
・奥歯で噛んだ際に上下の前歯に隙間がある
・前歯の突出により口が閉じにくい
・下唇を使って口を閉じる癖があり、顎に梅干し状のしわが見られる
・舌を前に出して飲み込む癖(異常嚥下)がある

初診時は、前歯が噛み合っていないことで食べ物をうまく噛み切ることができず、咀嚼機能が十分に発揮できていない状態でした。

また、口が自然に閉じにくいため、無意識に口元に力が入りやすく、見た目や日常動作にも影響が出ていました。

「前歯でしっかり噛めない」「口元が気になり自然に閉じられない」といった、機能面と審美面の両方に対するお悩みを強く持たれていたのが印象的でした。

まずは“歯並びだけでなく、原因から整えること”が重要です

このような開咬のケースで大切なのは、単に歯を動かすのではなく、歯並びが乱れた原因から改善していくことだと考えています。

開咬の場合、見た目の問題だけでなく、舌の使い方や飲み込みの癖が深く関係していることが多く、これらを改善せずに歯だけを動かしても、後戻りのリスクが高くなってしまいます。

本症例では、前歯が噛み合わない状態に加え、舌を前に押し出して飲み込む癖(異常嚥下)が見られました。

そのためまず、**筋機能トレーニング(MFT)**を行い、正しい舌の位置や飲み込み方を習得することからスタートしました。

舌で前歯を押す力が改善されることで、歯並びに悪影響を与える力をコントロールし、矯正治療の効果を安定させることができます。

その後、歯の移動量が大きいことから、細かいコントロールが可能な**ブラケット矯正(ワイヤー矯正)**を選択しました。

また、前歯の突出を改善し、しっかり噛める状態を作るために、上下左右の小臼歯を4本抜歯し、前歯を後方へ移動させる治療計画としました。

さらに、上顎の奥歯の位置を安定させるためにパラタルアーチを併用し、噛み合わせ全体のバランスを整えながら治療を進めていきました。


患者様にも、
舌の癖を改善することの重要性
抜歯を伴う矯正治療の必要性
後戻りのリスク

について丁寧にご説明し、ご理解・ご納得いただいたうえで治療を開始しました。

治療の流れ:開咬を改善し、前歯で噛める状態を目指した症例

今回の治療のゴールは、

前歯でしっかり噛める状態をつくる
口を自然に閉じられる口元に改善する
後戻りしにくい安定した噛み合わせを確立する

という3点です。


① 筋機能トレーニングにより舌の癖を改善

本症例では、舌を前歯に押し付けて飲み込む癖(異常嚥下)が見られました。

この状態のまま歯を動かしても、舌の力によって歯並びが元に戻ってしまう可能性があります。

そのためまず、筋機能トレーニング(MFT)を行い、
舌の正しい位置
正しい飲み込み方
を習得することからスタートしました。

② 抜歯を伴うワイヤー矯正で歯並びを改善

前歯の突出および移動量が大きいため、精密なコントロールが可能なブラケット矯正(ワイヤー矯正)を選択しました。

また、前歯を後方へしっかり下げるために、上下左右の小臼歯を4本抜歯し、スペースを確保しました。

これにより、
出っ歯の改善
前歯の隙間の解消
を図りました。

③ 補助装置を併用し、噛み合わせの安定を図る

上顎の奥歯の位置を安定させるため、パラタルアーチを併用しました。

これにより、奥歯の位置を固定しながら前歯の移動をコントロールし、全体の噛み合わせのバランスを整えていきました。

④ 前歯で噛める機能と口元の改善

治療を進めることで、
前歯がしっかり噛み合う状態を獲得
口が自然に閉じられるよう改善
し、機能面と審美面の両方の回復を目指しました。

また、治療後も後戻りを防ぐために、舌のトレーニングを継続する重要性についてもご説明しました。

矯正治療を行うにあたってお伝えした注意点

矯正治療は装置をつけるだけでなく、日常生活での意識や習慣も非常に重要になります。

本症例では特に、舌の癖や口元の使い方が関係しているため、以下の点について丁寧にご説明しました。


① 装置に慣れるまで違和感や痛みが出ることがある

矯正装置を装着した直後や調整後は、歯が動く影響で痛みや違和感が出ることがあります。
その都度、調整を行いながら無理のない範囲で治療を進めていくことが大切です。

② 装置は指示通り継続して使用すること

ワイヤー矯正では装置は常時装着されますが、補助的な装置やトレーニングは継続が重要です。
使用時間や通院間隔を守ることで、治療効果をしっかり引き出すことができます。

③ 口腔内を清潔に保つこと

矯正装置の周囲には汚れが溜まりやすくなるため、毎食後の丁寧な歯磨きや補助清掃用具の使用が重要になります。
虫歯や歯周病を予防しながら治療を進めることが必要です。

④ 舌のトレーニングを継続すること

本症例では、舌を前に出す癖が歯並びに影響していました。
そのため、矯正治療と並行して筋機能トレーニング(MFT)を継続し、正しい舌の位置や飲み込み方を身につけることが非常に重要です。
舌の癖が改善されない場合、治療後に歯並びが後戻りする可能性があるため、継続的なトレーニングが必要となります。

治療後の症例写真

 ※術前・術後の比較写真をご覧ください


治療後は前歯がしっかり噛み合うようになり、これまで難しかった食べ物も前歯で噛み切ることができるようになりました。

また、前歯の突出が改善されたことで口元のバランスも整い、自然に口を閉じられるようになりました。


機能面においては、治療後しばらくは新しい噛み合わせに慣れる期間が必要でしたが、徐々に違和感も軽減し、「前歯でしっかり噛めるようになった」「口元を気にせず自然に過ごせるようになった」といったお声をいただきました。


また、矯正治療と並行して舌のトレーニングを継続していただいたことで、正しい飲み込みが身につき、安定した噛み合わせの獲得につながりました。

今回のケースでの自費診療の費用

治療内容 数量 金額 備考
検査 1回 55,000円 初診時
診断 1回 33,000円 治療計画立案
矯正初期費用 1式 880,000円 ワイヤー矯正
処置料 約36回 4,400円/回 月1回
レントゲン検査 年1回 16,500円 治療経過確認

※矯正歯科治療は、公的健康保険の適用外となる自由診療(自費診療)です。

※治療内容や期間、使用する装置により費用は変動する場合があります。

矯正治療(ワイヤー矯正)のメリット・デメリット

メリット
  • 細かい歯の移動が可能で、幅広い症例に対応できる
  • 前歯の位置や噛み合わせを精密にコントロールできる
  • 抜歯を伴う症例でもしっかり歯を動かせる
  • 見た目だけでなく、機能的な改善(噛む・飲み込む)も期待できる
デメリット
  • 装置が目立ちやすい
  • 装着初期や調整後に痛みや違和感が出ることがある
  • 歯磨きがしにくく、虫歯や歯周病のリスクが上がる
  • 治療期間が比較的長い(本症例では約3年)

筋機能トレーニング(MFT)のメリット・デメリット

メリット
  • 舌の正しい位置や使い方が身につく
  • 歯並びに悪影響を与える力を改善できる
  • 後戻りのリスクを軽減できる
  • 飲み込みや発音の改善にもつながる
デメリット
  • 継続的なトレーニングが必要
  • 習慣化するまでに時間がかかる
  • 患者様自身の意識と協力が不可欠

まとめ:前歯で噛めない・口が閉じにくいと感じている方へ

出っ歯や開咬の状態でも、痛みがなければ日常生活は何とか送れてしまうことがあります。

しかし、口が閉じにくい状態や前歯で噛めない状態が続くと、口呼吸や口腔内の乾燥、歯ぎしりや顎への負担につながり、知らないうちにお口全体のバランスが崩れてしまう可能性があります。

本症例では、まず筋機能の改善からスタートし、その後段階的に矯正治療を行うことで、前歯でしっかり噛める状態と、自然に口が閉じられる口元まで改善することができました。

見た目の改善だけでなく、噛む・飲み込むといった機能面まで整えることができた点が大きなポイントです。

矯正治療は歯並びを整えるだけでなく、噛み合わせや口腔環境、さらには呼吸の改善にもつながる治療です。

口が閉じにくい、前歯で噛めない、出っ歯が気になる、顎に負担を感じるなど、気になる症状がある方は、今のお口の状態を一度しっかり確認してみることをおすすめします。

自分に治療が必要なのか分からない、どのような治療になるのか不安、といった段階でも問題ありません。

当院では現在の状態を丁寧に診断し、患者様に合った治療の選択肢をご提案しています。

まずはお気軽にご相談ください。今のお口の状態を正しく知ることが、将来の健康を守る第一歩になります。

『前歯で噛めない』を改善したい方へ

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この記事の監修者

歯科医師:佐々木 智章

<経歴>

    • 2010年 愛知学院大学歯学部卒業
    • 2011年 愛知学院大学臨床研修医
    • 2012年 アップルデンタルクリニック勤務医
    • 2014年 ササキ歯科・ササキ矯正歯科勤務

<資格・所属学会>

    • 愛知県歯科医師会
    • 名古屋市東区歯科医師会
    • MDIベーシックコース
    • MDIインプラントコース
    • ストローマンインプラントコース
    • CAD/CAM Curving & Polishing
    • CAD/CAM Preparation & Training
    • アストラテックインプラントシステムベーシックコース
    • 顎咬合学会
    • LCDCベーシックコース
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